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生活習慣病について

生活習慣病。以前は成人病といわれていました。高血圧、高脂血症、糖尿病などのことです。

よく検診などで高血圧を指摘された患者さんが受診され「薬を飲み始めたら一生飲み続けないといかんのだろ」とおっしゃる方がいらっしゃいます。

そのとおりです!!!

当院ではもちろん減塩を中心とした食事指導を行っていますが、生活習慣の改善だけではなかなか正常血圧までもっていけない患者さんも多いです。

かくいうこの私も最近は収縮期血圧(最高血圧)が120mmHgを超えることが多くなってきました。現在では収縮期血圧が120mmHgを超えたら高血圧予備症です。

南アメリカに住むヤノマモインディアンは無塩文化を持っており、この人たちは一切塩を口にしません。なんとこの人たちには一人も高血圧の人がいないのです。

しかし日本人には1日7gの減塩でもかなりツライいことです。1日3gの腎臓食を食べたことがありますが、まずいです。。。。。あれでは私はとても生きていけません。日本人がある程度の年齢になるといわゆる本態性高血圧になるのは仕方のないことだとも思っています。

だいだい40歳くらいから徐々に血圧が上昇してくる方が多いようです。わたしもついにそのような年齢になってしまいました。降圧剤の内服を始めているところです。

少なくとも収縮期血圧で115mmHgまでは血圧を下げれば下げるほど長生きできる(脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化の合併症が減る)ころがわかっています。以前言われていた140mmHgという基準は高すぎるのです。

「薬を一生飲まないといかんのだろ」とおっしゃいますが、飲んだ方が確実に健康に長生きできるのです。これは高血圧に限らず高脂血症、糖尿病でも同じことです。

みなさんは老後に備えて毎月年金を積み立てていらっしゃいますね。またいざ病気で入院した時のために生命保険にも加入していると思います。生活習慣病の薬を毎日飲むということは、これと同じように充実した老後を過ごすための保険なのです。薬を飲むことによって脳卒中や心筋梗塞などの合併症にかかる確率が減ることを「リスクリダクション」といいますが、毎日の服薬とは「リスクリダクション」を積み立てていくことなのです。

たとえば生命保険は脳卒中で入院して半身不随になってしまったら保険会社からお金が支払われますよね。でもみなさんが望んでいるのはそんなことではないはずです。保険会社からお金がおりなくても健康に長生きした方がいいに決まってます。

今50歳の方は自分は少し高血圧だけれどもまだまだ健康だと思っていらっしゃるかもしれません。しかし生活習慣病は脳卒中などのとりかえしのつかない合併症が発生するまでほとんど症状がでないからこそ恐ろしいのです。

人生80年の世の中です。自分が70歳になった時のことを考えてみてください。子供たちは独立したし、借金もすべて返した。これから豊かな老後をエンジョイしようか、というときに半身不随で病院で寝たきりではあまりにも悲しいじゃありませんか。今まで愛する家族のためにがんばってきた自分はいったいなんだったのだろうと思ってしまいます。

繰り返しますが生活習慣病は一生つき合う病気です。日々の生活習慣を改善するのはもちろんのこと、それでも足りない部分はどうしても薬の助けが必要です。毎日薬を飲むことは未来の自分のためのそして愛する家族のための保険なのです。